東京都台東区の上野・御徒町で会計事務所をしております、白根悠皓(しらねゆうや)です。
会計事務所の仕事をしていて、一番伝えるのが難しく、また重要と感じることが、「お金の世界と会計の世界は異なっている」ということです。

【お金の世界】事業においては、お金=資金が一番大切です
なぜ、お金(資金)が一番大切かというと、それはお金がなくなってしまったらゲームオーバーになってしまうから。
会社であれば倒産、個人であれば破産になってしまいます。ですから、まずはお金の重要性を理解しましょう。お金がなぜ重要かを知りましょう。
お金は事業における4大経営資源(人、モノ、お金、情報)の1つです。お金は事業における「血液」です。また、お金の世界はとても単純です。お金と言われているのは、現金・預金のことです。
常に現金残高や預金残高の動きをチェックするようにしましょう。
<お金の世界>
収入(入ってきたお金) - 支出(出て行ったお金)
=収支(増えたお金もしくは減ったお金)
目安にはなりますが、月商の3か月分とか、必要運転資金※の3か月分を現金として用意できているとよいとか言われています。
ただ、お金は手元にたくさんあった方がよいことには間違いないので、この目安以上の現預金を手元におくことを目指しましょう。
※運転資金とは、事業を続けるために必要なお金(資金)のこと。次のような計算式です。運転資金=売上債権(現金化できていない売上)+棚卸資産(手元にある商品)-買入債務(仕入等の未払い分)

【会計の世界】
会計の世界は、お金の世界とは全く異なる概念になります。
<会計の世界>
収益(得たもの)- 費用(得るのにかかったもの)
= 利益または損益
「お金の世界」と「会計の世界」は違うのです!
この利益(損益)は現金・預金の動きとイコールにはなりません。お金の動きと会計の動きがズレるのです。ズレるパターンにはいろいろあります。

【お金 の 動き と 会計( 損益) の 動き が 異なる パターン 一例】
- 損益が先に出てからお金が出入りするパターン(例クレジットカードによる売上)
- お金が先に出入りしてから損益が出るパターン(例着手金の受け取り)
- お金の出入りはないけれど損益が出るパターン(例減価償却費)
- 損益が出ないけれどお金の出入りがあるパターン(例借入金の元本返済)
【資金繰りが難しい理由】
資金繰りとは、お金の入り(収入)と出(支出)を予測して、将来のお金の過不足に備えて対策をすることを言います。
会社経営をしていると、資金繰りがうまくいかなくなることがあります。それは、普段見ている数字が利益(会計の世界の数字)だからです。
会計の世界の利益は出ているのに、手持ちの現金・預金は底をついているということもあり得るのです。
黒字倒産という言葉をご存知でしょうか。黒字倒産とは、会計の世界では利益が出ているのに、手持ちの現金・預金が足りず、人件費や経費、借入金の返済ができずに倒産してしまうことです。
会計の世界とお金の世界とでは、見ている数字が異なります。会計の数字(利益)とお金の世界の数字(収支)、両方の数字を意識しておくことが非常に重要です。

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